セミナー情報 (2014年度)

首都大学東京素粒子理論研究室では、学外の研究者を招いて様々な内容のセミナーを開催しています。

興味のある方はご自由に御参加下さい。



12月17日(水)14:40より @8号館300

" F-theory family unification "

溝口 俊弥 氏 (KEK)

世代統一(family unification)とは、 現実に観測されているすべてのクォークとレプトンを、 ある単純群をターゲット空間とする超対称非線形シグマモデルの南部・ゴールドストーンボゾンの超パートナーと同一視する考え方である。 特に、ターゲット空間を E7/(SU(5) x U(1)^3) に選ぶと(九後・柳田模型)、 ちょうど3つの SU(5) の 10 + 5bar + 1 と1つの5表現の多重項が得られ、 現実に観測されているような「非平行」な三世代スペクトラムが得られる。 本講演では、この九後・柳田模型は、 F理論と呼ばれる超弦理論の枠組みにおいて自然に実現されることを、F理論についてのできるだけわかりやすい導入を含めてお話しします。

12月3日(水)14:40より @8号館300

" ヘビー・クォークの物理と非相対論的な量子力学 "

清 裕一郎 氏 (順天堂大学)

クォークの物理は強い相互作用の理論であるQCDに基づいて記述される。 近年、QCDの非摂動的な方法としてのLattice QCDが勢力的に研究されているが、 ここ10年の間に摂動論的な方法も有効理論の視点から様々な解析的取り扱いが開発されてきた。 このセミナーでは、ヘビークォークの物理を記述するPotential Nonrelativistic QCD (PNRQCD)のアプローチについて解説する。 PNRQCDは場の理論としてのQCDと非相対論的な量子力学(QCD量子力学)の間をつなぐ有効理論であり、 現象論的なポテンシャル・モデルと場の理論の違いを明らかにする。 また、摂動論とはいえQCDを直接的に計算するのは複雑でとても手に負えないように感じられるがPNRQCDは有効理論の手法を用いることで システマティックでパワフルなフレームワークを提供してくれる。 イントロダクションを長めにとって、できる限り直感的な方法で有効理論の方法を解説したい。 セミナーの後半、QCDポテンシャルにおける摂動論的なアプローチとLattice QCDの結果を比較する。 現象論的な応用としてボトモニウムのスペクトロスコピーや崩壊過程について議論したい。

11月19日(水)14:40より @12号館206

" 原子・分子過程によるニュートリノ物理 "

田中 実 氏 (大阪大学)

原子・分子の状態遷移のエネルギースケールはO(eV)以下であり、 ニュートリノ振動から知られているニュートリノの質量スケールに 近い。本セミナーでは、原子・分子過程を用いてニュートリノの 未知の性質に迫る新たな方法について紹介し、ビッグバン宇宙論が 予言する宇宙背景ニュートリノの検出とその性質の解明の可能性に ついて議論する。今後の展望、目指す物理などを、非専門家向けに解説する。

11月12日(水)14:40より @8号館300

" 3種類の暗黒物質の統一的起源のシナリオ "

西尾 咲子 氏 (お茶の水女子大学)

ミュー粒子は今のところ素粒子と認められている素粒子の一 つである。電子よりも400倍重たいミュー粒子は磁気双極子 形の磁化を帯びるが、 宇宙論的精密観測から暗黒物質の存在が示唆されており、その候補として、天体と素粒子が考えられている。 暗黒物質は、一般にその質量によって3種類に分類される。一つ目はmeVスケールの質量を持つ熱い暗黒物質(HDM)、 二つ目はkeVスケールの質量を持つ暖かい暗黒物質(WDM)、そして三つ目はTeVスケールの質量を持つ冷たい暗黒物質(CDM)である。 本講演では、これら3種類の暗黒物質が、5次元時空のカルーザ-クライン(KK)理論の枠組みにおいて、統一的に理解し得ることを紹介する。 特に我々のシナリオでは、HDMはゼロ番目のKKモードに相当する左巻きニュートリノ、WDMは右巻きのステライルニュートリノ、 そしてCDMは第一番目のKKモードに相当するニュートリノとして理解される。

10月22日(水)14:40より @8号館300

" もうすぐ始まるSuperKEKB/Belle II実験 ― 現状と展望 "

後田 裕 氏 (KEK)

高エネルギー加速器研究機構では、大成功を収めたKEKB/Belle実験の運転を2010年に終了し、 そのアップグレード計画を推進してきた。 現在、新しい加速器(SuperKEKB)と測定器(Belle II)の建設と運転準備が佳境を迎えている。 SuperKEKB加速器が、KEKB加速器の40倍の電子・陽電子衝突性能を実現することで、 Belle IIはこれまでの40倍のスピードでデータを蓄積し、標準理論を超える新しい物理の影響を探索する。 そのために必要となる加速器及び測定器の技術と、建設の現状を紹介し、 今後の展望、目指す物理などを、非専門家向けに解説する。

6月18日(水)14:40より @8号館300

" Calculable Higgs mass in the scenario of gauge-Higgs unification "

林 青司 氏 (東京女子大学)

We address a question whether the recently observed Higgs mass 126 GeV is calculable as a finite value in the scenario of gauge-Higgs unification. In the 6-dimensional SU(3) model, a suitable orbifolding is known to lead to a Higgs mass twice as large as the W-boson mass at the tree level. We demonstrate first by a general argument and secondly by explicit calculations that the quantum correction to the deviation from this relation is calculable, with some similarity to the case of MSSM.

6月4日(水)14:40より @8号館300

" New physics searches in B -> Dτν and Belle II "

坂木 泰仁 氏 (KEK)

B中間子の崩壊現象の精密測定は、標準模型を超えた物理の探索に有用な手法 である。本セミナーでは B -> Dτν過程に着目する。この過程は、荷電ヒッグス から強い影響を受けるといった第3世代に潜む新しいフレーバー構造への良い プローブとして注目されている。この過程に対する測定結果は現在、標準模型 の予言から3.8σずれており、その結果に対する近年の理論的研究の進展を概観 する。また、2015年から稼働するBelle II実験において、どのような新しい 物理が探索可能か議論したい。

5月21日(水)14:40より @8号館300

" Finite-size corrections to Fermi's golden rule "

飛田 豊 氏 (北海道大学)

Fermi の黄金律は、量子論における始状態から終状態への遷移確率の計算を行う上で非常に強力な手法である。 この手法では始状態と終状態の間の時間間隔が無限大として近似されており、これは場の量子論における S-matrix の方法も同様である。ディラックがこの黄金律を導いて以来、この近似は十分に良いと考えられて来た。 しかし、我々はニュートリノ等の電子と比べても非常に軽い粒子が近距離で測定される現象では、時間間隔が有限 であることによって生じる補正が、大きな役割を果たすことを明らかにした。本セミナーでは、有限の時間間隔を 取り扱う手法から始め、補正を含めた理論的な結果がパイ中間子やミュー粒子の崩壊で生成されるニュートリノを 用いた近距離実験の結果を定量的に矛盾なく説明出来る事を示す。

5月7日(水)14:40より @8号館300

" Naturalness of 126 GeV Higgs and mev dark energy "

磯 暁 氏 (KEK)

After the discovery of Higgs boson at 126 GeV and the precise observations of CMB spectrum by Planck satellite, particle physics are now at the stage to search for fundamental principles behind the physics beyond the standard model of particle physics and cosmology. In this talk, I will discuss two important issues, the naturalness of the EW scale and a possible origin of dark energy in the history of the universe.

4月24日(木)14:40より @8号館300

" Theory of the anomalous magnetic dipole moment of the muon "

早川 雅司 氏 (名古屋大学)

ミュー粒子は今のところ素粒子と認められている素粒子の一 つである。電子よりも400倍重たいミュー粒子は磁気双極子 形の磁化を帯びるが、 その強さ “g” の量子的力学に由来する部 分を、“g-2” と呼んでいる。本セミナーは、ミュー粒子の g-2 に 対する素粒子の標準模型からの予言、 それは現時点で実験で測 定された値との間に少しずれが見られるもの、について概観す ることと、この数年で解決すべき理論的諸問題について議論 す ることを目的とする。


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